熊谷キャンパスは「2011年度グッドデザイン賞」(Gマーク)を受賞しました。
地球や私たちを取り巻く環境は悪化の一途をたどっています。豊かで安全で安心して生活できるよう、この環境を保護し改善してゆくことは、今や全人類的かつ緊急の課題です。この課題に取り組むためには、環境問題の所在を明確に把握・認識し、その背景や原因を追究し、その上に立ってその改善・解決策を考えなければなりません。立正大学地球環境科学部は、現在、人類が直面しているさまざまな地球環境問題の改善や解決に資することのできる人材の育成を目的として、平成10年に開設されました。
一口に環境問題といっても、地球温暖化や酸性雨問題、あるいは地球規模での人口・食糧・資源問題などのように、その影響が全世界に及ぶものから、公害問題・ゴミ処理問題のように、その影響が比較的狭い範囲にとどまるものまで多種多様です。また問題発生の背景や原因あるいは発生のメカニズムはきわめて複雑多岐にわたっています。それらを正確に把握するためには、自然科学的側面と人文・社会科学的側面の双方からのアプローチと、情報の収集・分析のための技術的手法の習得が不可欠です。
そのため、立正大学地球環境科学部は、環境問題を主として自然科学的側面から把握・認識しようとする環境システム学科と、主として社会科学・人文科学的側面から把握・認識しようとする地理学科との2つの学科から構成されるユニークな文理融合型の学部になっています。学生諸君はどちらかの学科に所属し、それぞれの学科で専門的な知識・技術を学びますが、環境問題を総合的に学修するために、両学科共通の選択必修科目群を設けるとともに、一定の枠内で他学科の専門科目を履修できるようになっています。
両学科とも、セミナーやフィールドワークは少人数クラスで編成され、指導の徹底が図られています。さらに専門的な研究をめざす諸君には、それぞれの学科を基盤とする環境システム学専攻と地理空間システム学専攻の二つの専攻から構成される大学院地球科学研究科が設置されています。また、将来、建築・建設あるいは地域開発などの方面で活躍したいと考える学生諸君には、測量士補資格の取得が可能なことも魅力の一つになっています。
「地球環境科学部」は「地理学科」と「環境システム学科」の二つの学科から成っています。 前者は「人間と自然の関わり、そしてその地域性を解明する」ことに、後者は「環境に関わる諸現象をシステムとしてとらえて解明する」ことに重点をおいて、その調査手法、研究方法などを学びます。
地理学とは、地球上で見られるさまざまな事象を把握し、それら相互の関連を地域的・空間的な観点から明らかにする学問です。そのためには、自然から文化・社会に至るまでの諸事象を、多角的かつ総合的に学ぶことが必要です。
地理学科では、地域の人口や経済、交通などの人文的な構成要素を学ぶ「人文地理学」や、地形や気候、水文、植生といった自然要素を学ぶ「自然地理学」を縦糸として学びます。あわせて、特定地域における地域的性格を自然環境と人間生活との関係から総合的に研究する「地誌学」を横糸として学びます。こうした総合的な調査・分析によってそれぞれの地域の特性や問題点を理解し、解決方法や提案を見つけ出していきます。地理学科の特長として次の3つをあげることができます。
観光、都市、まちづくり、教育、交通、農業、自然保護、環境問題など、幅広い分野を扱うのが地理学科の特長です。多彩な専門分野を研究する教員が、本当にやりたいことをサポートします。
1年次では「地理基礎巡検」が35コース。2年次・3年次ではそれぞれ7〜8つのテーマからコースを選べます。3年次は「地理学セミナーI・Ⅱ」と連動したフィールドワークが行われ、「海外フィールドワーク」で世界各国を訪れることもできます。
1925年に開設された専門部歴史地理科を前身とし、1947年にスタートした文学部地理学科を発展的に改組して設立した、歴史と伝統ある地球環境科学部地理学科は、収集された図書資料や地図資料など、貴重な地図コレクションを所蔵し、授業や研究に活用しています。
環境システム学科では、自分の関心に応じて生物・地球コース、気象・水文コースのいずれかを選択することになっています。生物・地球コースでは生物圏・地圏・環境情報に関する知識の習得を、気象・水文コースでは気圏・水圏・環境情報に関する知識の習得をそれぞれ目的としています。
いずれのコースにおいても実践を重視した実験・実習と、現場から学び、それに応じた調査法を身につけるためのフィールドワークに大きなウェイトが置かれています。また、両コース共通の基幹分野である環境情報に関する知識の習得を目指し、高度な情報処理技術やデータ解析能力も身につけることができます。
動物・植物の生態や生物の多様性、地表環境を構成する地形や岩石など、生物圏・地圏の基本構成を理解するコースです。生物分類技能検定や自然再生士などの資格取得のために役立つ授業も学ぶことができます。
身近な大気現象や気候変動、水循環や水質汚染、様々な特徴を持つ地下水・湧水など、気圏・水圏に見られる諸現象を理解するコースです。気象予報士や環境計量士などの資格取得のために役立つ授業も学ぶことができます。
地球環境科学部では、学部の教育目標に共感した、下記のような者の入学を期待します。
・地球と地域の環境問題の解決を目指して意欲を持って学修に取り組むことができる者。
・それぞれの分野における円滑な学習に必要な基礎的学力を備えた者、または大学において学部の教育目標を達成しうる資質を備えている者。
地球環境科学部地理学科では、学部学科の教育目標に共感し、地理学科での学修に取り組んでいくために必要な、以下に示す能力等を身につけている者の入学を期待します。
<主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度>
地理学とは、フィールドワーク(野外調査)などを通じて、日本と世界のさまざまな地域の自然や生活文化などに触れて、複雑な背景をひも解き、地域的特性とその成り立ち、地理的事象の原因を解明する総合的な学問です。そのため、地理学を積極的に学び、専門的な知識・技能を身につけていこうとする強い関心と意欲、行動力が求められます。
地理学の知見は、グローバル化している現代社会のさまざまな場で、地域を理解したり、まちづくりなどの地域振興や自然環境の保全、防災などの活動に役立てることができます。そのため、地域の課題を発見し、その解決に主体的かつ積極的に取り組む意欲と態度が求められます。
地理学は、フィールドワークによる地域調査を重視した学問であるため、地域社会の多様な人たちとのコミュニケーション能力を磨く必要があります。また、年齢や性別、国籍、出身地などにとらわれることなく、自らまわりの人に働きかけ、他者の意見を尊重し、積極的に議論しようとする姿勢や、協働して学修しようとする意欲が求められます。
<思考力・判断力・表現力>
地理学科では、地域の成り立ちや地理的事象を多面的・多角的に学修・研究するために、すべての科目において、プレゼンテーションやグループディスカッションを取り入れています。まわりの学生とともに協調性を持って、地理的思考を互いに高め合います。そのため、物事を筋道立てて考察し、的確に批評する論理的思考力、調べたり考えたりしたことを、自分の意見として適切に他者に伝える表現力が求められます。
地理学科の学びは、高等学校までの座学を中心とした地理科目とは異なります。地理的思考を養うためには、フィールドワークで地域社会の人たちから、主体的かつ積極的に話を聞き、質問したり、双方向で話し合いをしたりする高いコミュニケーション能力が必要です。そして、地理学や幅広い教養の知識をまとめて、地域と社会の諸課題を解決するために、自分の言葉で適切に説明する表現力が求められます。
野外でのフィールドワークでは、自ら主体的かつ積極的にさまざまな地域へ赴きます。そのため、実施に対する安全の確保、交通や調査のマナーなどの法の遵守を心がけることが必要です。また、フィールドワークでの新たな発見や危険などに対して、臨機応変に適切な行動するための判断力を身につけていることが求められます。
地理学科では卒業研究が必修となっています。授業で学んだことやフィールドワークで観察・観測したことを活かして、自分でテーマと研究対象地域を設定します。既存研究などから研究の意義を見いだし、調査計画を立案し、現地でのフィールドワークを実施します。フィールドワークから得られた結果などをもとに図表を作成し、分析・考察した結果を文章にまとめます。そのため、日本と世界の地理に関する図書や新聞記事など論理的な文章を読み、自分の考えを的確に表現するために必要な文章読解力と文章表現力、文章構成力を身につけていることが求められます。
<知識・技能>
・以下に示すような、地理学科の専門的な知識・技能の修得に必要な基礎学力を身につけている者。
〇高等学校等で修得すべき具体的内容
地理学科では、日本と世界の地理に関する学術論文や専門書などを数多く読み、専門的な知識を蓄積していきます。そのため、教科書や資料等を的確に読み解く文章読解力や、根拠や事例を示して、自分の考えを論理的に表現できる文章表現力、複雑な内容を順序立てる文章構成力、これら一連の作業に必要な論理的思考力の能力を身につけていることが求められます。
地理学科では、海外の文献や資料から地理に関する情報を得たり、海外フィールドワークや海外留学、留学生と交流する機会があります。そのため、英語で話された内容を正確に聞き取り、自分の意見や考えを英語で表現する語学力(リスニングやスピーキング)や、英語の文献や資料を的確に理解する読解力(リーディング)、論理的で適切な表現を用いて英文を書く作文力(ライティング)の能力を身につけていることが求められます。また、英語以外の言語についても興味関心を持つことで、世界に対する視野はさらに広がります。
地理学科では、日本と世界のさまざまな地域を対象に、地形や気候、水、植生、自然災害などをとらえる「自然地理学」と、人口や経済、産業、都市・農村、交通、観光などをとらえる「人文地理学」、特定地域における地域的性格を自然環境と人間生活との関係から総合的にとらえる「地誌学」を深く学びます。また、地図・GIS(地理情報システム)、測量などに関する高い技能を身につけます。そのため、地理科目の高い知識・技能、地理的な見方・考え方を身につけていることが求められます。さらに、地域の特性とその成り立ちは、複数の地域が相互に作用するなど、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。歴史的な観点から正しく地域の成り立ちを読み解くために、歴史科目の基礎的な知識を身につけていることも求められます。
地理学科では、フィールドワークで、都市開発や地域振興、自然環境の保全、防災などの取り組みに関する地域調査も行います。そのため、グローバル化している現代社会の動向などについて、最新の情報を収集して正しく理解することと、資本主義社会における選択・判断の手がかりとなる概念や理論、行政のしくみなど、公民科目の基礎的な知識や考え方を身につけていることが求められます。
地理学科では、地形や気候、水、人口、産業などあらゆる分野において、コンピュータを用いて統計や確率の計算を行い、数学的な考え方や理論を修得します。また、物事を論理的に深く考える力を養う上でも数学の知識が役に立ちます。そのため、測量に必要な三角関数などの関数の知識や確率統計など、数学科目の基礎的な知識や考え方を身につけていることが求められます。
地理学科で学ぶ自然地理学では、自然現象に対する関心をもち、目的意識をもって観察・観測を通じて、科学的に探究します。自然科学を理解し活用することや論理的に考察する力を養う上でも、理科の知識が役に立ちます。そのため、理科科目の基礎的な知識や考え方を身につけていることが求められます。
地理学科では、レポートや卒業論文を作成、データ分析などを行うために、コンピュータやICT機器などを活用することが不可欠です。そのため、情報に関わる倫理やモラル、適切に情報を収集・処理・発信したり、文章作成や表計算処理、プレゼンテーションのソフトの操作など、情報科目の基礎的な知識・技能を身につけていることが求められます。
上記のように、地理学はフィールドワークを重視した総合的な学問なので、様々な領域の基礎的な学力を身につけていることが必要です。
そのために、高等学校等これまでの学習過程において、日本と世界のさまざまな地域の自然と人間・社会との関係に強い関心を持ち、地域の特性や歴史的展開、現代社会の動向などについて、地理歴史・公民科目の知識・技能を身につけることが重要です。そして、世界と日本の地理に関する本や新聞記事を読んだり、マスメディアを通じて、学習意欲をさらに高めてください。
また、数学・理科・情報等の科目で、さまざまな情報を収集し、数理処理に基づいて物事を深く論理的に考えるための知識と能力、国語・英語科目で、聞く、話す、読む、書くといった、コミュニケーション能力や表現力を磨いてください。英語能力に関する資格取得も学習の達成を確認する上で役立ちます。 こうした取り組みは、入学後の地理学科での学びを生きた知識として定着させることにつながります。
地球環境科学部環境システム学科生物・地球コースおよび気象・水文コースでは、学部学科の教育目標に共感し、環境システム学科生物・地球コースおよび気象・水文コースでの学修に取り組んでいくために必要な、以下に示す能力等を身につけている者の入学を期待します。
<主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度>
環境システム学とは、私達を取り巻く様々な自然環境を相互に作用し合うシステムとしてとらえ、環境保全を視野に入れた総合的な学問です。環境システム学科への入学を志望する方には、環境システム学を積極的に学び、専門性を身につけていこうとする強い関心・意欲が何より求められます。
自然環境問題や環境保全に関わるには、グローバルな人との関わりが必要になります。そのためには、国際的情報交換に欠かせないコミュニケーション能力を磨く意欲が求められます。さらに、実験や実習を通じて測定・分析方法を修得し、環境問題の解決へ向けて貢献したいという意欲が求められます。
[生物・地球コース]
地球環境の構成要素のうち「生物」「地学」を中心とした自然科学の知識の修得とともに、環境問題を包括的に捉えるための高度な情報処理技術(環境データサイエンス)を学修し、さらに他の重要な構成要素である「気象」「水」との関わりも学修しようとする意欲が求められます。
[気象・水文コース]
地球環境の構成要素のうち「気象」「水」を中心とした自然科学の知識の修得とともに、環境問題を包括的に捉えるための高度な情報処理技術(環境データサイエンス)を学修し、さらに他の重要な構成要素である「生物」「地学」との関わりも学修しようとする意欲が求められます。
<思考力・判断力・表現力>
高等学校等、これまでの学習過程において、地球環境を構成する4圏(地圏・気圏・水圏・生物圏)について学習する科目である理科(物理、化学、生物、地学)、情報処理に深く関連する科目である数学や情報を身につけていることが求められます。
環境システム学に関わる教科書や様々な学術書、論文を読み解くことが不可欠です。また、プレゼンテーションやディスカッションを通して、自分の意見や考えを他者へ適切に伝えられることが求められます。そのためには、高等学校等で学習する国語における読解力や表現力が求められます。さらに、国際的情報交換に欠かすことの出来ない外国語の能力が求められます。
<知識・技能>
[生物・地球コース]
[気象・水文コース]
〇高等学校等で修得すべき具体的内容
地球環境の実態と時間的変化について理学的な思考で理解し、自分の考えを的確に示すために必要な理科に関する基礎的知識が求められます。
グラフや基礎的な数式を理解しそれを応用し論理的な思考を展開する力と、数理的素養に基づいて意見を伝えるために必要な数学の基礎的知識が求められます。
レポートや論文の執筆、データ解析などにはIT機器の活用は欠かせません。そのため、パソコンの基本的な技能とともに表計算やプログラミングの基礎的な能力が求められます。
海外でのフィールドワーク(野外調査)や国際的な情報交換のために必要な語学力の基礎的知識(リスニングやスピーキング)、および英語の文献・資料を読み理解する読解力(リーディングやライティング)が求められます。
他者の意見を適切に理解し、自分の意見を他者へ適切に伝えることが必要です。そのため、文章理解のための読解力、意見を伝えるための表現力が求められます。
水害や日照りなどの環境因子が歴史に及ぼした影響は非常に大きく、その逆に人間活動が自然環境の破壊にもつながっています。産業革命をはじめとする日本や世界の人間活動を認識・理解していることが求められます。
以上のように、環境システム学科の学びでは、様々な領域の基礎的な学力を身につけていることが必要です。
環境システム学は総合的な科学なので、理科と数学を軸にいろいろな分野を幅広く学んでおいて欲しいと思います。高校で学ぶ理科の基礎知識を自分の中で再構築するとともに、自ら進んで環境に関する本を読んで環境問題に対する興味と学習意欲を高めて欲しいと思います。さらに、マスメディア等を活用して様々な情報を収集・整理する力、他人の意見を正確に理解する力、自分の意見をわかりやすく表現する力を研鑽し、環境問題の解決ために意見を集約できるコミュニケーション能力を高めて欲しいと思います。